「ねえ、俺のかぎどこ?」「靴下ないんだけど」
またか。
父親が出かける前によく同じ事をやっていた。出かける前のひと騒ぎ。大人のくせに、なんで自分の用意が自分でできないんだろう。
手のかからない娘の私には不思議だった。
全く一緒だと思った。大抵、私より先に出かける準備を始めている筈なのだ。私は朝ごはんの片付けやら、洗濯をしたりしているので自分の準備は後回し、おまけに息子の準備も私がしている。
なのに、なんの準備をしているんだか知らないが、「準備できたよ」と声をかけると、冒頭の騒動が始まる。
「靴下、ソファの上に出してるって言ったでしょう」私の子供の時の状況が、現在進行形でリバイバルしている。
なんでだろう。多分、職場ではそんなことはないんだろうな、と、思っている(思いたいが)のだが。
職場でも似たような人たちがいる。用件を頼むと突然、別の仕事が発生する人とか。
普通の人が時間中に仕上げているのに、居残りしてさも仕事やってますっていうポーズの怠け者とか。
家でも、職場でも同じ役回りだ。
外と内でモードを変えられる人は幸せだと思う。変えられる余裕があるということだから。
学校の2者面談に行った。
「○○君(息子の名)はクラスで率先していろいろやってくれてます」
、、、、、、誰の話だ?
通学前のひと騒動。冒頭の騒ぎは息子の登校前にも当てはまる。
息子はもっとひどい。通学バッグの横においてある水筒もお弁当も、果ては目が悪いくせに眼鏡も忘れていこうとする。
先生はいったい誰の話をしているんだか。
ここにもモードを変えているヤツがいた。
ただ、息子の場合、目の前に悪例がいるからなお、質が悪い。
「だから、準備しておきなさいって言ったでしょう」
全く効き目のない台詞だ。
結局、母ちゃんがギャーギャー言いながらでも準備してくれるもんねえ。
嗚呼、あたしも面倒見てくれるお母さんが欲しい。