12月になった。熱いトタン屋根の上の猫、いや、お尻が大火事である。
着実に学習の積み上げが出来ていれば、総復習の日々であろうが、ウチは過去問絶賛解答中である。とっかかりも遅ければ、着実に日々勉強しているタイプでもない息子に積み重ねた知識はない。捨身の戦法、過去問対策あるのみ、である。
ここに来て、理科、社会は、知識の歌のCD朝晩かけっぱなしである。DWEと同じパターンだ。
「有名中学は、問題の出題傾向がそれぞれ特徴があるから、その傾向に慣れるしか勝機はないよ」と、夫は言った。「もちろん正攻法ではないからね、くれぐれも」。
私も国語の過去問はいくつか、解いた。満点の自信はない。というか、8割いくかな?という程度。公立高校入試とどこが違うのだろう。
社会もこれだけやったら、中学の授業網羅してない?
読み込む問題文自体も長いのだ。小学生の頃から三度の飯より、読書好きに近かった私は、速読はそれなりに出来るが、息子が制限時間内に読めるか、と、言われたら怪しいものだ。
息子に付き合って解いた国、社の問題は面白かった。あれこれ言って楽しんでいると
「趣味に走ると脱線するからやめろ」
夫の指導がすぐに入った。
やっぱり、あこがれる中学は違うなあ。入学の時の素地がここまで違うのか、と、納得した。
さて、もめにもめて、受験は2校に絞り切った。
主人は言った。
「無駄玉撃っても勝率落ちるだけだから。
どうせだったら、行きたい、行かせたい中学を受けよう。ダメだったら潔く公立中学だ(当たり前だ。選択肢は他にない)」
第1志望は、受験の常識から行けば、まず受けない(偏差値の差から)、自宅から一番近い最近は都内トップ5近い男子校である。小心者の私は塾の先生のお許し出るかな、と、違う観点で心配になった。
「親が、絶対受けさせるし、塾のせいにする気もないって言いきってるのをダメだっていう塾はないよ」
対外的には、強気に出ることがあまりない夫にしては今回は嫌に強気である。
私は(フツーは、受験校に選びませんよ)と、先生の声がエコーがかかって聞こえてくるような気もした。
「あたし、先生に〇東に決めましたって、言う勇気はないから、あなたが面談に行ってよ」
もともと、受験校決定の最終面談以前から塾には通っていないし、対策模試プランニングも両親が決めて提示しているのを覆すことはないとは思うが。
この人(夫)は、職業間違えたんじゃない?と思うばかりの取り組み方である。(まあ、自分の息子にしか使えないけど)
〇東模試ももう、最終であった。
他塾の生徒に混じって嫌とは言わずに試験会場に一人で入っていく息子の後姿を見送りながら、成長を実感した。
親が言うのもなんだが、有名進学塾でしかもその中でもできる子が受ける学校別模試である。他流試合にひとりで乗り込むわけである。私だったら、気後れしちゃうなあ。びびりんぼうのくせにどこからあの、図太さともいえるものが出てくるんだろう。不思議であった。
これぞ受験の魔力かもしれない。
かくて、2018年暮れの押し迫った時、夫婦二人で星乃コーヒーで今後の対策を話し合いながら、息子の模試終了まで時間をつぶしたのであった。