食事の仕方に品性が出る。よく聞く話。
ふっと気が付いて自分の席の横を見た。
あ~、この人机の上に手が出てなくて犬食いになってる。食べ方が汚い。
あ~、確かにイヤラシイ性格してるもんなあ、と、思った。目下の前門のツボである。
それで思い出した。
その前門のツボさえ、小つぼになってしまう大虎がいた。
伝説の説教部屋を作ったパワハラ大虎だった。
幸か不幸か同じ部署になったことがあった。
伝説が渦巻いていた人だったが、噂の説教部屋に閉じ込められたことが1回ある。
「ちょっといい」と、呼ばれ、空き部屋に連れていかれた。
報告書の項目が一行ずれているとかの説教だった。
「(あの、それ私の報告書じゃないです。確かに最後、私がプリントアウトしましたが)」
その文頭の「あ」の一言がはさめないマシンガン説教である。
諦めた。これは、この人の気が済むまで抗弁せずに頭を上げないでやり過ごすしかないな。これが噂の説教部屋か。半分思考は跳んでいた。結局その一行で30分お説教を食らった。
同じ社宅の人は雨天時は一緒に車に乗せて出勤とか、
パワハラなんて言葉がなかったころのこと、その人のせいで会社を辞めた人が何人かいるとか。
派遣される部署をひとつつぶした、とか。怪伝説に事欠かない。
確かに同じ部署だといろいろ理不尽な指示が出た。
でも、今思い出すのは、数々の意地悪より食べ方がものすごく下品だったこと。
マムシが舌をちょろちょろ出しているような感じで、まさに、ねめまわすってってこのことかあ、と、いうように周囲を見渡しながら食べるのである。
宴会の席で二度と近くにならないようにしなきゃと、思った。(幸か不幸か、何回かあたったが)
今、息子の食事の仕方にいちいち指摘をしているが、あまり言いすぎると食事が大噴火になってしまい、全然楽しくない、困ったもんだ。