オーガニック沼

子供が生まれてからオーガ二ックにハマった。

Made in Chinaは嫌だなあと、思ってたくらいでそれまではあまり考えてなかった。

少しでも脂っぽいものを食べるとすぐに乳腺がつまってしまうため、嫌でも食材を吟味せざるを得なくなった。時を同じくして中国餃子問題が勃発したため、ますます、神経質になってしまった。

Made in Japanにこだわるだけでなく、添加物にこだわりだすと通常のスーパーで買えるものが非常に限られる。加工品はまず、買えない。単価が若干高くなるスーパーに行ってもそれは変わらない。

かくして、週末のたびに自然食品系のスーパーに買いだめに行くことになった。表参道のクレヨンハウスもナチュラルハウスもよく行った。サイズアウトするまで、ほぼクーヨンの下着オンリイだった。

はまりだすときりがない。魔の呪縛にあってしまい、怖くて緩められなくなるのだ。家事は手がかさむ一方である。昼食をとるように出かける際は弁当持参である。

ある時、定期通院している歯科の先生に言われた。

「お母さん。ジュースも飴も食べさせないのは立派ですが、それはほどほどにしないといけません。あまりに市販のおやつを禁止すぎると、遊んでいて、おやつをもらったりした時にむさぼり食うっていうのをするんです。非常にみっともないです。そんなことよりしっかり重力を感じる運動をさせて体を鍛えなさい(すると歯も丈夫になります)」

合点がいった。何かのおまけで飴をもらったりするとどれだけ、珍しいおやつをもらったかのように、息子は目をキラキラさせて「これ、食べていい?」というのだ。

このことだ、、、、、、と、納得した。

そのころ完璧な手作りごはんと仕事を、私では両立しきれず、自分に余裕がなくなって家庭がギスギスしてしまっていた。

これなら余程コンビニごはんをおいしいねと言って食べる方が幸福度が高いことに気が付いた。

あんなふうに言ってもらえたら世のお母さんは、もう少し、育児楽しめるのに、世間はなんで一生懸命な母親を追い詰めるのだろう。育児がますます金銭と手をかけた難しいものになり、ハードルが上がってしまうのに。

最後の一押しを歯科の先生にしてもらうカタチになった。

以後、適度にコンビニも、デパ地下総菜も冷食もお世話になっている。

だいたい中学生にもなれば、好き勝手に買い食いしているので、そこまで目を行き届かせること自体が無理なのだ。

先日、自宅近くのオーガニックストアに行った。(そこはマクロビ専門だったが、少しづつそのこだわりを捨て取り扱う商品が増えている。そうなのだ、近くにオーガニックストアが出店しては消えていくのを何回か見ていて思ったのは、こだわりすぎると続かない、店舗経営も家事も同じことか言える場合もありそうだ)

無農薬リンゴが売れていた。

ちなみに無農薬だからおいしいというわけではないのを、何回も買って失敗しているので身に染みている。

「甘いですよ~。お勧め」店員さんに言われ、しつこく何回もホントに?ほんと?と念押しした。

「大丈夫!お勧めです。私も食べてますから」

「じゃあ」と言って、買うことにした。

もちろん、反抗期真っただ中の息子にではなく、可愛いペットのハムちゃん(ハムスター)に食べさせるために。

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