息子が2歳の時にDWE(知らない人のために、ディズニーの英語教育システムのこと)を始めた。
もちろん、夫が言い出した。
説明会に行き、こりゃ、どれだけ親が本気で取り組むかに尽きると思った。
例の通信教育でこんなに上達しましたってのと同じ。そのセットがあれば上達するのでなくて、、、、、、。DWE、初期投資がそれなりにかかる。
私は言った。「いいよ。あなたがちゃんと責任もってやるならね。私にさせるんなら、入会に反対。あなたがちゃんとやるなら反対しない」
ただでさえ、職場復帰し、仕事と育児、家事で疲弊しているのにこれ以上日々のノルマが増えてはかなわないと思ったから。
夫は言った。「俺がちゃんとやるから」
最初のステップは順調だった。イベントに参加したり、DVD見たり、CDをかけて歌を歌うくらいだったから。確かに、幼児の耳から情報吸収能力はすごいと思った。
付属のおもちゃで遊びながら、私より余程上手に英語の歌を歌っているのである。
そして、たいていの親はここで勘違いするのだろう。
『もしかして、ウチの子いけるかも』
DWEは英語教材を買うだけではない。
与えられた課題をクリアしてステップアップしていくシステムがある。もちろん課題を提出する、しないは、自由である。しかし、この教育システムを利用しなくてはもったいない。
その課題のクリアが問題であった。課題は英語文を読ませたり、歌を歌わせ、それを添付ファイルにして提出する。
それを誰がするのか、である。
そしてもうひとつ、電話で先生と会話したり、歌を歌ったりするのであるが、そのためにはまず、親が英語で電話する必要がある。
それも、誰が電話するのか、である。
夫「あんたの方が上手に先生と話すじゃん。やってよ」
私「あなた、言ったよね。俺がやるからDWEやりたいって」
夫「、、、、、、」
私「あなたの方があたしよりTOEICの点数よかったよね。確か仕事でも海外出張してたよね?」
夫「、、、、、、」
新婚旅行で行ったハワイでも私ばかり英語で会話して用件を果たしていた。確かにだてに独身時代が長かったわけではないので、トラベルイングリッシュくらいは適当にできる。だって、あとは度胸の問題だけだから。
息子がせっかくやる気になって「英語のもしもしする」モードの場面で両親が電話の押し付け合いをしていては元も子もない。
結局、予想通りの展開となり、私のノルマが増えてしまった。
そして、
最初のステップは順調でもだんだんと難しくなってくる。
読解と記述は何とかなる内容でも、日常生活が英会話の家庭ではないのだ。いかんせん発音が悪すぎるのだ。
「ママ、何言ってるか判らない」
家庭内教育の限界を感じ、DWE塾の通塾を決めた。当然送り迎えは私である。
最後の難関は卒業課題であった。これが、中学の英語の教科書半分以上読むような内容である。(ほかにもいろいろあるが)しかも卒業課題は年1回の9月にしか応募できない。
クリアできなければ、1年間また会費を払い続け再チャレンジである。こんなこと、くりかえすなんて絶対、ごめんである。
8月は毎日英語特訓の日々になった。
思い起こせば、受験前夜状態である。
疲れて仕事から帰ってきて、夕飯もそこそこに課題文の読み合わせである。
息子が夏休みでなければ絶対無理だった。
奮戦の成果は出た。お陰で、何とか卒業することが出来たのだ。めでたし、めでたし、ではない。
ここは、黙っていられない。
「あなた、自分がDWEやるって言ったよね?それって教材費と会費の振り込みって意味だったわけ?」
今思い出しても、ほんとムカつく。
まあ、ホテルミラコスタでの卒業パーティに参加できたので良しとするか。いいや。
お陰様で『DWる』とは、「言い出しっぺが何もしないこと」我が家の例え言葉が出来たのである。