兼業農家

実家は、兼業農家である。野菜は販売目的でなく、基本的に実家で食べるのが目的で作っていた。だから旬の野菜しかない。 

しかし、自宅で食べる分にしては、結構量があるし、第一手間もかかる。休日が畑仕事で終わり、休息にはならない。

何で野菜作ってるんだろう。不思議だった。買った方が結果的には安いようにも思えた。

休日だけで農業をやろうと思うと、手作業だけでは難しく、ある程度、効率的な機械化をせざるを得ない。

つまり諸経費が非常にかかるのだ。両親の給与を考えると農業やらない方がましじゃないかと思っていた。

私は気がついていなかった。実家の野菜が美味しいことに。

家族で出掛ける事はあまりなかったので外食の記憶もあまりないし、母がお惣菜を買ってくる事もなかった。

ま、確かに7人分のお腹を満たすお惣菜なんてコスパ悪すぎなので、当たり前かもしれない。

そして、両親のリタイア後は、ますます野菜が美味しくなった。時間があるので、思う存分手をかけられるのだ。

美味しい野菜は調理の手間も、調味料もそんなにいらない。オーガニック沼にはまり込んでいた時には、片端から送ってもらっていた。

そうなのだ。虫も食わない野菜は、何処か不自然なのだ。

ただ、今は沼から上がっているので、そこまでこだわってはいない。

食べたい野菜を食べるだけ。

両親をたまに東京に呼び寄せても、田畑が心配だからとそそくさと帰って行く。

今、育てるべきは米と野菜だから。

手をかけた分だけ反応があるそれらは、私たちより余程やりがいと楽しさや安らぎを与えてくれるのだろう。

ちょっとだけ羨ましい気がする。私に出来ない分ちょっとだけ。

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